【2日間でショップ売上1.4倍】「当たったクーポン」が、接客の起点になる ── 開場60周年ガチャが生んだアップセルと、紙からLINEへの一歩
| 業種・業態 | ゴルフ場運営(会員制カントリークラブ/4コース36ホール)。主要顧客接点はフロント・ショップ・コース。来場者の平均年齢は55〜56歳 |
|---|---|
| 目的 | 開場60周年の感謝還元/ショップ利用の促進/会報紙からLINEへの移行 |
| 実行施策 | 開場60周年記念オンラインガチャ(2日間・1人1回制限・LINE友だち追加を参加導線に組み込み・当日限り有効のショップ割引券を中心とした「はずれなし」構成) |
| 効果 | ショップ売上が前年同企画比で約1.4倍(2日間で約500万円→約700万円)/参加308名のうち217名が新たにLINE友だちに(新規友だち率68.9%) |
| 広告主 | 大和開発観光株式会社(天野山カントリークラブ) |
周年の節目に、日頃の感謝をどうお伝えするか。記念品をお渡しするだけでは少し物足りない——そんな迷いを抱えたまま、例年どおりの企画に落ち着いてしまうことはないでしょうか。
大阪・堺市の会員制ゴルフ場、天野山カントリークラブは、開場60周年の節目にオンラインガチャを実施しました。当たった割引券は当日中にショップで使える設計です。結果、2日間のショップ売上は前年同企画の約1.4倍に。参加された308名のうち217名が、新たにクラブのLINE公式アカウントとつながりました。「当たった割引券」は、なぜ売上を押し上げたのか。同クラブ代表取締役社長の井山裕章氏に伺いました。
インタビュー協力
企業名:天野山カントリークラブ(大和開発観光株式会社)
ご担当者:代表取締役社長 井山 裕章 様
公式サイト:https://www.amanosan.jp/
導入背景|60周年の「ありがとう」を、どう形にするか

天野山カントリークラブは、大阪府堺市南区に4コース36ホールを擁する、南大阪最大規模のゴルフ場です。1990年には日本プロ選手権の舞台にもなりました。会員制クラブとして長く親しまれ、2026年に開場60周年を迎えています。
60周年という節目にあたり、同クラブが考えたのは、日頃ご来場いただいているお客様へどうお礼をお伝えするかということでした。開場記念の品はご用意していました。ただ、それだけではもう一歩足りない。感謝の気持ちを、その場の体験としても受け取っていただけないか——それが出発点でした。
景品の設計にも、社長の考え方が表れています。
──こちらとしては、何か努力して得るものでなければ使っていただけないと思っているんです。クーポンも同じで
ただお渡しするのではなく、ご自身の手で引いていただく。そのひと手間があるからこそ、受け取ったときの実感が生まれる。この発想が、ガチャという手法につながっていきました。
もう一つ、社長には以前から考えていたことがありました。会員の皆様へのご案内を、紙の会報からLINEへ移していくという構想です。
──今すぐ会報紙を切り替えるのは無理ですが、並行しながら徐々に移行していけると思っています。いいタイミングだったと思いますね
60周年の感謝を体験としてお渡しし、あわせてLINEへの移行も一歩進める。この2つを同時に満たす手段として選ばれたのが、〈クロワッサン〉のオンラインガチャでした。

活用の全体像|「当日限り」の割引券を、接客の起点にする
実施したのは、開場60周年記念のオンラインガチャです。ノーコードのマーケティングツール〈クロワッサン〉で構築し、ご来場のお客様にQRコードからご参加いただきました。実施は2日間、参加は1人1回までです。
参加フロー
- プレー後の休憩スペースに、QRコードを掲載したチラシポップを設置
- お客様がお手持ちのスマートフォンでQRコードを読み取る
- LINE公式アカウントの友だち追加を経て、その場で60周年記念ガチャを1回お引きいただく
- 結果画面に当選内容を表示(上位賞=旅行券・パター・ポロシャツ等、下位賞=ショップ割引券)
- 割引券の有効期限は当日限りとし、そのままショップでご利用いただく
あわせてショップでも、スタッフがお客様にお声がけをしながらご案内を行いました。

景品は、旅行券やパターなどの上位賞を目玉に据えつつ、下位賞をショップ割引券とする二階建て構成。上位賞に当たらなかった方にも、必ず売り場へ足を運ぶ理由が残ります。はずれは一つもつくりませんでした。
現場で起きていたこと
この施策で特徴的なのは、ガチャが単体の企画として完結せず、売り場での接客とつながっていた点です。
──売り場では皆さん何かしらお買い物をされるので、そのときに声をかけて。「これはやった方がいいですよ」とご案内していました
ガチャのためにお越しいただくのではなく、すでにご来場されている方に、待ち時間やお買い物の合間にお引きいただく。そういう設計です。ご案内は、ショップスタッフに加え、この日だけ他部署のスタッフにも協力を仰ぐ形で行われました。

〈クロワッサン〉が担った役割|紙のくじでは、こうはならなかった
同クラブが〈クロワッサン〉で活用した主な機能は、次のとおりです。

とりわけ効果的だったのが、物理的な準備が要らないことです。抽選箱もくじ紙も当選券も用意せず、お客様ご自身のスマートフォンで完結するため、参加者数が増えても運営側の作業量は変わりません。
成果と評価|「もう一点いかがですか」が生まれた2日間

① 数値で見る成果

あわせて、当日限り有効とした割引券の利用実績です。

発行した割引券の約85%が、その日のうちに使われています。さらに特徴的なのが、当たった金額が大きい券ほど利用率が高いという傾向です。1,000円券が77.0%であるのに対し、3,000円券は90.6%、5,000円券にいたっては当選された25名全員が当日中にお使いになりました。
そして、この施策の成果を最も端的に示すのがショップの売上です。

② なぜ売上が伸びたのか
クーポンは、使っていただければ売上につながる。それは同クラブでも同じでした。ただ今回、単なる利用促進を超えて売上が伸びた鍵は、クーポンを「精算時に差し引くもの」ではなく「接客の起点」として使ったことにあります。
────先にクーポンを引いていただいて、「3,000円券が当たりましたね」となったら、「もう一点いかがですか」とお話ししながら。上積み分を取っていこうと考えてやっていました。そういう部分では、アップセルはできたかなと思います
もともとボールを5,000円分お買い上げになる予定だったお客様が、3,000円の割引券をお持ちになる。そこで「もう一点いかがですか」とお声がけする。値引き分を上回る買い足しが生まれる——これが、2日間で200万円の差を生んだ構造です。当選内容がその場で分かるからこそ、精算前の接客に組み込むことができました。
この流れが成立した前提には、割引券の有効期限を当日限りに設定できたことがあります。紙の抽選券で期限を厳密に運用しようとすれば、日付の管理や当日分の仕分け、レジでの期限確認といった手間が発生するため、現実には「後日もお使いいただけます」とせざるを得ません。しかし後日利用の券は、その日の接客には使えない。「今日しか使えない」という状態をシステム側でつくれたからこそ、当選をその場の一押しに変えることができました。
半額クーポンが当たったお客様は、8万円のパターをお買い上げになりました。原価は割れます。それでも社長の判断は明快でした。
──原価は割れますが、それでも構わないと考えていました。売れたら売って、また新しいものを仕入れればいい
同クラブにとってこのイベントは、利益を取る場ではなく、ネットや他店で購入されていたお客様を自店に引き込むための投資と位置づけられています。一度きっかけができれば、翌年も買い替えも自店で——その紐付けをつくる販促費として、割引を設計しているのです。

想定外の効果|平均年齢55歳。それでも、みんな引いてくれた
導入前、社内で懸念されていたのは来場者の年齢層でした。同クラブの来場者の平均年齢は55〜56歳。それより上の世代も少なくありません。スマートフォンでの操作に抵抗があるのではないか——そう考えるのが自然です。
──思っていたよりも、皆さんやってくださいましたね。平均55、56歳という年齢層ですが、それでも問題なく。皆さんLINEは使っていらっしゃいますから
「あ、当たった」という声が売り場に上がり、スタッフも一緒に盛り上げる。デジタル施策が敬遠されるどころか、その場のコミュニケーションを生む装置として機能しました。必要だったのは、アプリでもアカウント登録でもなく、スタッフの一声とQRコード1枚でした。
もう一つ、想定を超えていたのが参加率です。2日間で400名分(1日200名分)を想定していたところ、実際の参加は315回。1人1回制限のもとでこの数字は、ご案内が行き届いていたことを示しています。
今後の展望|60周年で終わらせない
同クラブでは、今回獲得したLINEの接点を、会報紙からの段階的な移行に活かしていく方針です。紙をすぐに置き換えることはできないため、当面は並行運用としながら、少しずつ比重を移していく構想です。
また、次の展開としてすでに動き出しているのが社内向けの活用です。社員・キャディ向けの研修に合わせ、学んだ内容を定着させるクイズとガチャを組み合わせたコンテンツを準備中とのこと。全問正解でガチャを回せる仕組みを想定しています。
お客様向けの販促と、社内向けの教育。同じ仕組みが両方に使えます。年末年始など、次のイベントでの再実施も検討されています。
まとめ|この事例から真似できること
天野山カントリークラブ様の取り組みから、他業種でも再現できるポイントは次の3点です。
- 割引券は「値引き」ではなく「接客の起点」になる。先にお引きいただいてから接客に入ることで、当たった金額を上回る買い足しが生まれる。精算時に差し引くだけでは、この効果は出ない
- 有効期限を当日限りに絞ると、券は実際に使われる。今回は発行の約85%が当日中に利用され、高額の券ほど利用率が高かった。期限の設定は、還元額を売上に変えるための条件になる
- 「はずれなし」設計は、コストではなく送客の仕組みになる。下位賞を自社売り場の割引券に据えることで、はずれ枠がそのまま来店動機に変わる
- 高年齢層が中心の施設でも、QR1枚で完結する導線であればデジタル施策は成立する。必要なのはアプリでもアカウント登録でもなく、スタッフの一声

来場されているお客様はいる。売り場もある。それでも、その日のうちに財布を開いていただくきっかけがない——商業施設、温浴施設、レジャー施設、ホテル、自動車ディーラー。業種は違っても構造は同じです。「配って終わり」にならない体験設計を、クロワッサンでご一緒できます。
クロワッサンの詳細・お問い合わせはこちら
https://lp.croissant.buzz/contact/
- 社名・学校名
- 天野山カントリークラブ
- 所在地
- 〒586-0086 大阪府河内長野市天野町906番地の2
- 公式サイト
- https://www.amanosan.jp/
- 事業概要
- ゴルフ場の運営。大阪府堺市南区にて4コース36ホールを展開する南大阪最大規模の会員制ゴルフ場。1990年には日本プロ選手権を開催